偽装婚約~秘密の関係~
『で、用件っていうのは…『ちょっと待ってくれ』
『なんだよ?』
『その前に身元、明かせよ。
俺、いまだにお前がどういうヤツか掴めてないんだけど』
それもそうだ、と思った俺は
『瑞季』
『はい』
瑞季に名刺を渡させる。
『遊馬電器…特別専務?
遊馬…晴弥?
って…あの、遊馬電器?』
『あの、がどの、かは分からないがその冷蔵庫、うちの製品だ。』
『ウソ…だろ。』
『ウソじゃない。』
『だいたいなんだよ!特別専務って!』
ああ、それな。
俺、実はいうとその役職、気にいってない。
『お前と同い年だからな、俺。
ちゃんとした役職はもらえてないんだ。
だけど、一応研修も兼ねていろんな仕事やってるから。』
目がテンの洋介。
無理もないだろう。
こんなのその辺に転がってる話じゃないからな。