偽装婚約~秘密の関係~
『で、用件なんだが。
キミは沙羅と現在進行形で付き合ってる、そのことに間違いはないだろうな?』
『え?…ああ、そうだけど』
『じゃあさっきのはどういうことだ?
玄関先でおアツいことをしてたみたいだが』
『別にお前には関係ないことだろ。』
『ああ、確かに関係ない。
だがな、沙羅を傷つけるワケにはいかないんだ』
洋介の眉間にシワが寄った。
『アイツは俺が預かった大事なヤツだから、お前ごときのために沙羅に涙を流させるワケにはいかない』
『はあ?結局、お前は何が言いたいワケ?』
『沙羅と別れてほしい』
しばらくの沈黙。
でもその沈黙を洋介はデカイ笑い声で終わらせた。
『なんだよ、別れてほしいって。
お前、沙羅に惚れてんの?』
『そういうワケじゃない』
『まあいいけどさ、そんなのどっちだって。
でも俺は沙羅と別れる気なんてないよ。』
腹が立った。
このバカなオトコに。
『なぜだ。
なぜそこまで沙羅にこだわる?
さっきの年上の彼女がいるだろ』
『俺はな、欲深い人間なんだ。
沙羅1人じゃ満足できないタチでな。
いろんなオンナのいろんな反応を楽しみたいんだよ』
沙羅。
お前はコイツのどこに惹かれたんだ?
俺にはお前の趣味がまったく理解できねぇよ。