偽装婚約~秘密の関係~




『お前は沙羅と別れない、そういうんだな?』


『ああ、別れないよ』


『瑞季。アレをよこせ』


『かしこまりました』


瑞季は内ポケットから紙きれを出し、俺に渡す。



『これで、沙羅と別れてほしい』


スッと洋介の前に紙を差し出す。



『へ~

金持ちってホントにこういうことするんだ~』


洋介は差し出されたソレ…小切手を物珍しそうに眺める。



『金額は…20万。

少なくない?ドラマかなんかじゃ何千万とかじゃん』


『お前は高校生だからな。

20万でもかなりの収入だろ』


このゲスな人間に金を渡したくなんてないが、沙羅を守るためだ。

20万をドブに捨てるのとそう変わらないだろう。



『でもさ、遊馬晴弥』


『なんだよ?』


『俺、これ…要らないわ』


洋介はそう言って不敵に笑うとビリビリと真っ二つに小切手を引き裂いた。







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