偽装婚約~秘密の関係~
『お前、沙羅のためにそこまでするのか?』
顔を上げると案の定、洋介は笑っていた。
とんでもなく、悪い顔で。
『ああ、するよ。
俺は…沙羅を守らなきゃならない』
2億でアイツの半年を買ったんだ。
と、いうことは半年後、両親のもとに沙羅を返すとき、沙羅は元気でないといけない。
そのためにはこの半年間、俺がアイツを守るしかないんだ。
『へ~
つーか、沙羅とお前ってどんな関係なワケ?
最初から不思議だったんだけど。』
『ただの…契約相手だ』
『契約?なんの?』
『お前に教える義理はない』
おーコワ、と呟く洋介。
クッソ!
コイツの言動全てに腹が立つ。
それを必死に堪える。
『どーしても俺に別れてほしいの?』
『ああ、どうしてもだ』
『なんで?』
溜まってる全てを吐き出したかったがそれをグッと抑え込み、簡潔に言い放つ。
『お前を信じてる沙羅を傷つけたくないからだ』