偽装婚約~秘密の関係~
そうして偽装婚約の相手候補は決まった。
俺には専属の執事が2人いる。
主に家での世話をするのが瑞季(ミズキ)。
多分、日本でもトップ10に入るくらいの完璧な容姿を持ち合わせ、
執事のランクをつけるとしたら、間違いなく最上級の『S』ランクに入るくらい、優秀なヤツだ。
そして外での世話、それとSPを兼任している森本。
どこにでもいそうな顔だが、
働きっぷりは瑞季にも引けを取らない。
その2人に俺は鬼灯沙羅の身辺調査を頼んだ。
遊馬電器の婚約者になる女だ。
あくまでも『偽装』婚約者、だが。
それでも過去にヘンな遍歴があったりすればそれは遊馬電器の看板に傷をつけることになる。
だから、鬼灯沙羅を徹底的に調べた。
するととんでもない事実が発覚したのだ。
『私の調査によりますと、
鬼灯家には多額の借金があります』
『それも闇金から借りたお金です』
『ちなみに額は?』
森本が瑞季の顔をチラッと確認したあと、言った。
『借金は…2億ほど、と伺っております』