偽装婚約~秘密の関係~
芽依とジュウゴを見送った俺は自分の部屋に戻った。
リビングは今から瑞季が沙羅の最終テストをするらしい。
そう言えば、明日、親父と母さんが久しぶりに帰って来る。
何か月ぶりだろうか…
親父とは仕事のことで何度か連絡をとることはあったが、母さんは声を聞くのもかなり久しぶりだ。
洋介の件で頭がいっぱいになっていたが、明日のことだってかなり重要だ。
沙羅の態度次第でこの契約がバレてしまうかもしれないんだから。
ま、でも瑞季のレッスンを受けたんだ。
無駄に緊張しない限りはうまくいくだろう。
学校の宿題を手早く終わらせ、リビングに行く。
もちろんそこに沙羅はいない。
さっき隣の部屋のドアが開く音がしたからな。
『瑞季、何か温かい飲み物』
『かしこまりました』
俺はリビングの真っ黒のソファに足を組んで座った。
さて、洋介。
お前はいつ沙羅に言うつもりだ?
期限は今日いっぱいだぞ?
『どうぞ。ミント茶でございます。
これを飲めば少しは落ち着けると思いますよ?』
瑞季は俺の前にミント茶を置いた。
ミント茶の効果はイライラ時や不安時に飲むと穏やかになる、というものだ。
ったくコイツはホントに俺のことをよく分かってやがる。