偽装婚約~秘密の関係~
正直、2人の報告を聞いて
『もらった』
と、思った。
鬼灯沙羅自身が納得するかどうかは別として、
鬼灯沙羅の両親を説得する『エサ』になる。
やはり、人間『お金』は大切なのだ。
『瑞季、さっそく鬼灯沙羅の両親にコンタクトをとれ』
『かしこまりました』
瑞季にそう指示を出した後、ふと、思う。
順調過ぎて怖い。
たまたま目に入ったヤツが、
多額の借金を抱えてる、
なんてうまく話がいきすぎている気がする。
これって巷で言う
『運命』
ってヤツか?
そんなことを思ってふっと笑う。
ガラにもないことを思うなんて
俺、どうかしちゃったんだろうか。
でも、今思えば
このときから俺は得体の知れない『何か』を感じていたんじゃないだろうか。
でも、その『何か』の正体に俺が気づくのは
もっとずっと先の話…