偽装婚約~秘密の関係~
『沙羅。行くぞ』
瑞季は母さんと親父の出迎えで玄関に行き、俺たちは別室に移動する。
『いいか?
1時間でいい。
1時間とりあえず、全力でいい子を演じろ。
できるか?』
そう聞くと沙羅の顔がどこか引き締まったように感じる。
「……分かった。
頑張る。」
なかなか頼もしいこと、言ってくれるじゃねーか。
その言葉、信じてっからな。
『俺が何を言っても動揺するな。
で、俺に合わせて話をしろ。
あとは黙ってても多分…大丈夫だから』
あくまでも多分、だけどな。
なんせ親父は無口だがその分、母さんが無駄に喋る。
しかも母さんは突拍子もないことを言い出したりするから余計、タチが悪い。