偽装婚約~秘密の関係~





『よくやったな、沙羅』


よほど疲れているのか沙羅はリビングに戻ると気が抜けたようにソファに座った。

そんな沙羅を見てニヤッと笑ってしまう。



『母さんも、親父も、沙羅が婚約者だってことになんの疑いも持ってない。

と、いうことは、うまく騙せた、ってことだ。


沙羅、夜が楽しみだな』


それだけ言い残して部屋に戻る。


沙羅の最後の一言


『全力で晴弥さんをサポートします』


にはとにかく驚かされた。

そしてこれが決定的な一言だったのは間違いないだろう。


半信半疑だった母さんは笑顔で頷いてたし。

親父に関しては…無表情で無言だったからよく分かんねえけど。


まあでも、親父にバレたってなんの問題もない。

『決まり』にこだわっているのはあくまでも、母さんだけだ。


だから実際に騙すのは母さんだけでいい。

念のため、親父にも一応は隠しているが。



『…晴弥様』


『なんだ?』


ノックにつづいてドアが開いた。

そして瑞季が顔を出した。









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