偽装婚約~秘密の関係~
『今、引き出しの整理をしていたのですが』
よりによってなんでこのタイミングで掃除なんだ、
とは残念ながら思わなかった。
なぜなら瑞季はそういうヤツだからだ。
付き合いが長いから理由はそれだけ。
『こんなものが…』
瑞季の手には写真が1枚。
それを受け取って表を見た瞬間、ドクッと大きな音心臓がたてた。
『…捨てろ』
『よろしいのですか?』
『いい。そんなもの…必要ない。
それに沙羅に見つかったら厄介だ』
『かしこまりました』
瑞季は部屋を出ていく。
にしてもアイツは意地が悪い。
と、いうか意地が悪すぎる。
俺がなんて言うのか分かってるくせに、
わざわざ見せて確認させるなんて。
瑞季が持ってきた写真。
そこに写っていたのは
元カノ…あずさと俺の幸せそうな笑顔だった。