偽装婚約~秘密の関係~
「な…ななんで…あんたがここにいるのよ…?!」
沙羅の動揺の仕方はいつもながら、面白くて。
ホント、からかいがいのあるヤツだ。
『はぁ?
何言ってんだよ、沙羅。
ここは俺とお前のスイートホームだぜ?』
ニヤッと笑う。
我ながら、アホらしい。
何がスイートホームだ。
「も、もう寝るから!
寝るからどいてっ!」
さっきの言葉は完全にスルーされて沙羅は暴れる。
往生際が悪いな、まったく。
『ヤだね。
なんだったら俺の腕の中で寝るか?』
俺は大歓迎だぞ。
腕枕、そんなにキライじゃない。
「絶対ヤだ!
1人で寝る!
ってことで、はい。
自分の部屋に戻って!」
俺を押し返そうとした沙羅の腕を掴む。
掴んだ部分が熱くて。
それが、沙羅の体温なのか、
俺の体温なのか、分からなかった。