偽装婚約~秘密の関係~
『ははっ
残念だな、沙羅』
沙羅の考えを先読みした俺は声をあげて笑う。
単純だな、コイツは。
『瑞季はもう自分の部屋へ行ったよ。
さっき沙羅の部屋に入る前に瑞季にもう部屋に戻っていい、って言ってきたからな。
さて、沙羅。
どうする?
誰もお前を助けになんてきてくれないぞ?』
どうせ瑞季のことだ。
困った時は名前を呼んでください、とでも言っているんだろう。
『ん?どうした?
いつも達者な口が閉じてるけど』
何か言いたげな沙羅。
でもなぜかその言葉をグッと堪えている。
なんだよ。
言い返さないとつまんねーだろーが。
そこで、急に態度を変えてみる。
『沙羅?お前の言うこと1つだけ、聞いてやるよ』