偽装婚約~秘密の関係~
「だ、誰があんたのペットなのよっ!」
沙羅は必死に平常を保とうとしているが、
俺にはお見通しだ。
動揺しすぎだぞ、沙羅。
『嬉しいくせに。
お前はホントに意地っ張りだな、沙羅』
「嬉しいワケないでしょ!
それにあたしは意地っ張りなんかじゃない!」
またまたそんなこと言っちゃってさ。
『じゃあ、昨日のあのキスのあと俺に抱きついたのは…誰だっけ?』
まさか忘れた、なんて言わせねーよ?
昨日、間違いなく俺は沙羅と唇を交わした。
そして沙羅から離れるとなぜか、コイツは俺に抱きついてきた。
沙羅がそんな大胆だとは思わなくて。
少し、驚いた。
だが、それで確信をもった。
コイツは俺に惹かれ始めている…
『沙羅、俺疲れたから寝るな。
おやすみ』
頬にキスをすると俺は眼を閉じる。
やっぱり両親と会うのは神経が擦り切れる。
さすがの俺も限界だ。
それに沙羅の抱き心地があまりに良くて。
俺は目を閉じて3分もしないうちに夢の世界へと落ちて行った…