偽装婚約~秘密の関係~
『…や様。晴弥様。
朝です。起きて下さいませ』
『………ん…?』
うっすらと目を開ける。
あれ…いつもと違う…
…あ、そうか。
昨日は沙羅の部屋でそのまま寝たんだった。
『瑞季、朝食の準備』
『かしこまりました』
瑞季が部屋を出ていく。
でも俺は起き上ろうとはせず、沙羅は未だに俺の腕の中。
『沙羅、昨日できなかったろ?
朝から熱いヤツ』
瑞季におしくも邪魔されたからな。
今朝は絶対にやってやる。
「ヤだ!
まず離してよ!
いい加減、いいでしょ?!」
『そうやって意地張って。
俺が寝てる間にいくらでも抜け出せれたろ?
イヤならなんで無理矢理にでも俺の腕をどかさなかった?』
「……そ、それは…っ!」
正直、朝起きたら沙羅は腕の中にいないんじゃないか、って思ってた。
でもコイツは素直に俺に抱きしめられてやがる。
いい加減、自分の気持ちに気づけ。
そう言ってやりたい気分だ、こっちとしては。