偽装婚約~秘密の関係~
『で、どうしてなんだ?沙羅』
「そ、それは…」
やっぱりな、こういうのは自分の口ではっきり言わなきゃ認識できないと思うワケだ、俺は。
沙羅はなんて言えばいいのか困っているらしく、黙りこむ。
仕方ないな、まったく。
手のかかるオンナだ。
『答えられないのか?沙羅。
じゃあ代わりに俺が答え、教えてやるよ』
沙羅の体を起こし、やっぱり後ろから抱き締める。
そして耳元で囁いた。
『沙羅、お前は俺が好きなんだ。
だから、俺から逃げなかった』
しばらくの間、沙羅は何も言わなかった。
あれ?素直に認めんのか?
そう思った時だった。
「って…んなワケないでしょー!!!」
と、沙羅が大声で叫んだのは。