偽装婚約~秘密の関係~
不信感
それから沙羅は不機嫌そのもので。
まったく困ったお姫様だ。
まあ沙羅はお姫様、ってガラでもないんだが。
学校に着いたと同時にケータイが震えた。
『………っ?!』
そして俺はそこに表示されていた懐かしい名前に目を見開く。
どうして。
どうしてお前が今さらメールなんて…
クラスのヤツらに動揺を悟られないように俺は必死で無表情を装った。
そしてメールを開く。
「中庭で待ってます」
たったそれだけのメール。
俺は迷うことなく立ち上がり教室を出た。
メールの送り主。
それは、元カノ…あずさだ。
なあ、あずさ。
お前はきっと、俺が来てくれると踏んでそういうメールを送って来たんだよな?
今さら、何の用なんだよ。
お前のことだから、俺と沙羅の関係だって知ってるんだろ?
心の中でそうあずさに話しかけながら俺の足は中庭に真っ直ぐ向かっていた。