偽装婚約~秘密の関係~
月明かりの下で
次の日の朝
「おはよ、瑞季さん」
いつもギリギリに起きる沙羅が制服に着替えた状態で現れた。
なんなんだ。
お前、こんなに早く起きれたのか?
『おはようございます、沙羅様』
『おお、今日は珍しく早いんだな』
昨日のことを引きずるワケにはいかなくて。
だからいつもの俺を演じる。
「たまにはね。」
いつもより覇気がない、そう感じたのは俺の気のせいだろうか。
『……まだ、怒ってんのか?』
聞くか聞かないか、正直迷った。
でも、やっぱり気になって。
「なんのこと?」
そう言われ、内心、かなり驚いた。
沙羅のことだから怒ってるに決まってるじゃない、そんな答えが返ってくると思ったのに。
『え?もう怒ってないのか?』
「なんのことか分かんないよ、晴弥」
『あ、お、おう。そうか』
…なんなんだ。
なあ、沙羅。
どうしてそうもケロッとした顔、してんだよ?
昨日はあんなにキレてたのに。
ますます俺はお前が分からなくなった。