偽装婚約~秘密の関係~
「お!沙羅ぁ!
ずいぶんとキレイになっちゃって!」
浅井家の屋敷のパーティルームに入ると同時に芽依と会った。
そうすると強張っていた沙羅の顔が緩んで。
なんだ、コイツもやっぱり人並みに緊張するんだな。
『芽依、悪いが沙羅と話すのはあとにしてくれ。
先にあいさつを済ませてくる』
こういうのは先に終わらしたほうがいい。
沙羅の腕を掴んで浅井新社長に近づいていく。
『いいか、沙羅。
お前は俺の横でニコニコしてろ。
んで適当に俺の話に合わせるんだ。
できるな?沙羅』
「やればいいんでしょ、やれば」
その答えに満足げに頷く俺。
この1週間で沙羅は完全に元の沙羅に戻っていた。
それがいいことなのか、
悪いことなのか、俺には分からない。
『あそこにいるのが今回の主役。
沙羅、笑え』
沙羅に命令しながら俺自身も笑顔を作る。
あー…頬の筋肉がダルイ。