Drawing～君と僕と～

母親は自分が中学の頃にトラックとの衝突事故に遭って亡くなり、今は転勤の多い父親との２人暮らし。

近くには頼れる親族もいない為、唯一の保護者である父親の転勤が決まったら自分も付いていくことになるのは必然のことで、そのことについてはもうとっくの昔に諦めている。

だから今回の転勤も、何でこの時期にとは思いながらも、黙って父親についていくことになった。

どうせこんな生活も大学へ行くことになれば終わりになる。あと数ヶ月、あと数ヶ月の我慢なのだ。

この学校に転校してきて二週間が経つが、もちろん友達なんかできるわけもなく、クラスにもなじめていない。

新しいクラスの人は最初こそ僕にほんの少しばかり視線を投げかけたが、自己紹介の雰囲気で僕を「おとなしくて暗い転校生」と認識すると、誰も近づいてはこなかった。