Drawing~君と僕と~
「えっと・・・ごめんなさい。私、周りの事そんなに興味なくて」

「いや、いいんだ。それよりごめん、その・・・邪魔をしてしまって」

「いえ・・・こうなるんだったらしっかり校舎の案内をすべきだったわね。」

「いや、僕が断ってしまったんだし・・・」

お互いに口を閉ざしたまま沈黙が流れる。
何か喋らなきゃいけないと思いつつも、おどおどしてしまう僕を見て沖野さんはため息をつく。我ながら情けない。

「とにかく、この教室はもう使われてないのよ。色々あったから」

「色々・・・?」

「昔はここ、あなたも間違えたように図書室だったの。
でも2年前の秋頃、ここで頸動脈切って自殺した女子生徒がいて、それ以来使われなくなった。人が死んで血がたくさん流れた所なんかで落ち着いて本なんて読めないじゃない。」

「そんなことが・・・。」

驚く僕をよそに、沖野さんは話し続ける。

「学校側は必死に隠そうとしたけど、事件が起きてから数年しか経ってないのもあって地元じゃ有名な話ね。今じゃネットだってあるわけだし。
それこそ最初は面白がってここに来る男子生徒も多かったけど、そのたびに怪我をしたり熱が出たりしたらしくて、今では面白半分で来る人はいなくなった。」

「じゃあここにいたら祟りがある・・・とかは・・・ないよね・・・?」

「馬鹿ね、祟りなんてあるわけないじゃない。

ちょうどその頃学校でインフルエンザがはやってたのよ。面白半分で来た誰かが感染でもしてたんでしょ。
その後学級閉鎖になったクラスが何クラスかあったわ。今じゃそのインフルエンザは霊のせいだったって噂になってるけどね。」

祟りではないとわかると僕は少し安心して胸を撫で下ろす。そういう系にはめっぽう弱いのだ。




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