J//High:schooL
「ごめん、遅れた!」
そう言って、実咲があらわれたのは数十分してからだった。
「…へ?」
その間にあたしは爆睡していたみたいで、
壁に寄り掛かりながら
ぐうすか寝ていた。
「あぁ、実咲…やっと来た」
春の夕日が眩しく照り
薄暗かった廊下の一角が
赤く映る
目を覚ましたあたしは、
自分の上に誰のかわからない
学ランがかけてあったのに気が付いた
誰の…?
半起きの頭で学ランを手に取り
名札を見ると、“青野”と記されていた
えぇ!?
青野!?
驚きながらぎゅっと学ランを握ると、微かに青野の香が鼻をかすめた。
「実乃里、こんなとこで寝てたの?」
ボーっと学ランを握り締めているあたしに上から実咲の声が聞こえた。
「あー、はは、寝てたみたい…」
片手で頭をポリポリと掻いて
実咲に笑顔を向けた。