J//High:schooL
『あ、お前はもう書いた?』
プリント越しにこちらを覗く
『当たり前、適当に名前と好きなもの書いとけばいいし』
さも自慢気に言い放つあたし、彩実乃里
『頼む、俺のも適当に書いといて』
そう言って、プリントをあたしに差し出す彼
『あたし、あんたのこと知らないし』
昨日、今日会ったばかりの人のことなんて
わかるわけない
『俺のこと教えるから』
『自分で書いたほうが早いよ?』
ベッと舌を出して
プイと顔を背けた。
『んやね、ケチ』
前を向き直して
シャーペンを片手に
何かを書き出す青野
『優貴ってゆーんだ』
記されていく文字を見ながら
ポツリと言った。
『それが、何?』
あたしの顔を横目でチラッと見ては、はたと止まる手