こんな僕たち私たち
2章-14<放課後の悪夢と、甘い会話>
 ぞわり、と悪寒が全身を駆け巡る。

 『そいつ』の姿が視界に入ったその瞬間から、震えが止まらない。

 ――どうして。どうして神様はこんなにも無情なのだろうか。

 心の中でそう何度も繰り返す。

 たまらなくなって、私は擦れた声を出した。

「……何であんたがここにいるの」

 『そいつ』――進藤禄朗は、得意気な表情で言った。

「いちゃ悪りぃか!オレの情報網をナメんなよ。七緒先輩在る所にオレ在りだ!!」

 いや、もう訳わかりません本当に。


















 湯気のたつ3つのカップがテーブルに置かれ、

「いただきまス!」

 いちいち暑苦しい挨拶と共にお茶を啜ったのは、もちろん進藤禄朗。

 極度の眩暈に襲われながら、私は禄朗を見据えた。

「ていうかストーカーだろ」

 なぜならここは東家のリビング。そしてさっきまで禄朗が仁王立ちで待ち構えていたのは、あと2、3歩進めばこの家のインターホンに手が届く位置だったからだ。

「人聞き悪りぃな。そんなキモい事するわけねぇだろ」

 と、私を睨みながら禄朗。
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