こんな僕たち私たち
 ……最悪だわ。手紙の内容も、朗読の声も!『自信あるよ(笑)』って、何!? 甲高いおかま声が気持ち悪いったらありゃしない。

 七緒はさっきよりも赤くなってその猛烈ラブレターをひったくった。

 そして、うるさい仔犬みたいに、

「……っ勝手に読むなよ人の手紙を!! 完全に面白がりやがって。だいたいさっきからなぁ…」

 でも、こんなに可愛らしい顔で吠えてもせいぜいチワワかプードルだ。誰もびびらない。

 むしろ皆、そんな七緒を見てちょっと和んでる? 何だかクラスがほんわかムード。

 ただし、七緒本人を除いては。

「へいへい、ごめんな」

 と頭なんか撫でられちゃって、

「触んな!」

 七緒はますます青筋を立てた。

 ……ぷっ。

 悪いけど、笑ってしまう。

 吹き出す音が聞こえたらしく、七緒がキッとこっちを睨んだ。地獄耳?

「心都お前、今笑っただろ!?」

「あははっ、笑ってないない…くく」

「……って思いっきし笑ってんじゃん!」

 よっぽど悔しかったのかわなわなしてる七緒を見てると、また笑えてくる。

 そんな私に美里が遠慮がちに囁いた。

「ちょっと心都、爆笑してる場合じゃなくない……?」

「あ。」

 アホか私! 七緒のあまりの可笑しさに、今、一瞬忘れてた。

 ラブレター。

 もしいたずらじゃなかったら…差出人がめちゃめちゃ可愛い子だったら……七緒が告白OKしちゃったら……

 どうしよう!!





 
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