こんな僕たち私たち
神様仏様七緒様、お許し下さい。
私はこれから、人として決して誉められない行動を起こします。
それは……。
「覗くしかないわね」
昼休みの終わりを告げるチャイムと共に、美里はそっと甘い声で言った。
「な、何を……?」
「決まってんじゃない、放課後の告白よ」
「えぇ!? 人様の告白を!?」
顔に似合わずなんて大胆なんだろう。大声を出した私に、美里が「シーッ」と恐い顔をした。
「だって心都、気になるでしょ?」
そりゃー、もちろん。告白の相手も、現場も、結果も、死ぬほど気になりますとも!
でも七緒に黙って覗き見するなんて何か気が引ける。
「うーん……」
迷う私に、美里がキラリと目を光らせ決めの一手。
「七緒君があの差出人のモノになっちゃったらヤでしょ……?」
この一言で、私の中に辛うじてあった小さな道徳心は塩をふりかけたナメクジみたいに消え去った。
七緒が誰かのモノになんて、そんなの―――た、耐えられません!!
「うんっ!」
首が痛くなるくらい力一杯頷き、私は決心した。
いざとなったら七緒とその子の間に乱入して泣き喚いてやるわ。
……わがままだってわかってるけど。
でも、好きすぎてどうしようもなくなる。