こんな僕たち私たち
* * * *
冬が好き。
もっと詳しく言うと、冬の澄んだ朝。私はこれが好き。
冷たい空気に包まれると、朝のどたばたした慌ただしさも眠気も吹っ飛んで、たちまち心が落ち着く。私の解熱剤。
だからその日も、行ってきまーすで家から1歩出た瞬間、ひんやり感がたまらなく嬉しかった。
今日は1時間目から嫌いな数学で居眠りする気満々だったけど、まぁ頑張ろうかという気持ちになる。
だけど、しかし、でも。
やっぱり世の中、空気1つで全てが落ち着くはずがない。そう思い知ったのは歩きだした数秒後、見慣れた姿を前に発見した瞬間だ。
私の顔はみるみる熱くなって、嬉しさを伴なったドキドキが体中を占領した。
もはや冬の空気じゃ冷却不可。
だって、大好きな人の後ろ姿だったから。
「七緒(ななお)」
私の呼ぶ声にゆっくり振り向いたのは、可憐な花がよく似合う、天使のように光を放つ、ショートヘアの美少女……に見えるけれど、正真正銘、男である。
冬が好き。
もっと詳しく言うと、冬の澄んだ朝。私はこれが好き。
冷たい空気に包まれると、朝のどたばたした慌ただしさも眠気も吹っ飛んで、たちまち心が落ち着く。私の解熱剤。
だからその日も、行ってきまーすで家から1歩出た瞬間、ひんやり感がたまらなく嬉しかった。
今日は1時間目から嫌いな数学で居眠りする気満々だったけど、まぁ頑張ろうかという気持ちになる。
だけど、しかし、でも。
やっぱり世の中、空気1つで全てが落ち着くはずがない。そう思い知ったのは歩きだした数秒後、見慣れた姿を前に発見した瞬間だ。
私の顔はみるみる熱くなって、嬉しさを伴なったドキドキが体中を占領した。
もはや冬の空気じゃ冷却不可。
だって、大好きな人の後ろ姿だったから。
「七緒(ななお)」
私の呼ぶ声にゆっくり振り向いたのは、可憐な花がよく似合う、天使のように光を放つ、ショートヘアの美少女……に見えるけれど、正真正銘、男である。