こんな僕たち私たち
1章-7<間違い探しと、答え>
黒岩先輩の髪は昨日と変わらず柔らかくウェーブしていて、私はこんな状況にもかかわらず羨ましいと思ってしまった。
つまりそれほど、今日の私の髪はひどかったんだ。
…やっぱり今日も、遅刻してでもちゃんとしてくるんだったなぁ。
「――だから二度と邪魔しないでよ!」
「…嫌です」
「は!?」
「邪魔しないなんて無理です!」
先輩の顔がみるみる引きつっていく。
「今好きじゃないっつったろ!?関係ないんだから放っとけよ!」
「放っておけません、邪魔しまくります!」
「何あんた超ウザい…!!あんたみたいなダサいジャージの女が東君の周りちょろちょろしてんじゃねーよ!」
先輩は今にも掴み掛かってきそうな勢いでまくしたてた。
私も、もう言い訳できない。
放っておけない理由なんて1つだけだ。
「──嫌です…!だって私、大好きなんだもんっっ!!」
一瞬、空気が固まった。
「……」
先輩の右手がぴくりと震え、
「マジムカつく…!」
その手が、ビンタするには申し分ない高さまで振り上げられる。
「…!」
うわ殴られる!?親父にもぶたれた事ないのにぃーってお約束の台詞を吐く余裕すらない。
私は間もなく頬にくるであろう衝撃に備え、目をぎゅっと閉じた。
ふっ、と風が動く。
そして――