こんな僕たち私たち
七緒は一瞬きょとんとしたけどすぐに「あぁ」と理解して、
「俺、今日朝練ないから遅刻ギリギリでさ。校門入ったら裏庭の方からすげー怒鳴り声が聞こえてきて、何話してんのかはわかんなかったけど何か危なさそうだったから。で、行ってみたらちょーど先輩が右手下ろそうとしてるトコで。」
「つまり会話の内容は聞いてないの?」
「うん」
よ、よかったぁ…。
私はホッと息をつき、思わずへたりこむ。七緒が不思議そうに尋ねた。
「どーしたの」
「いえ何でもないっス」
「そうっスか。ところで俺も1つ聞きたい事がある」
「な、何?」
心臓が跳ねた。なぜなら、隣の七緒が私の視線に合わせて腰を下ろしたからだ。
「俺、昨日から何回考えてもわかんないんだけど」
「だから、何?」
場合によっては黙秘権を行使する。
七緒はふざけた色なんて全く感じさせない表情で、言った。
「何で昨日怒ってたの?」
「──へ」
…何だ。そんな事。
私はてっきり、さっき先輩と何話してたのかとかそういう質問かと思っていた。
こいつそんな事を真面目に何回も考えていたのか、と思うと少し可笑しくて。
そしてやっぱり、外見じゃなく中身も、色んな意味で七緒には一生勝てないだろうなぁ、と思う。
「…七緒があまりにも素直だからだよ」
「は?」
「とにかくもう全然怒ってないしっ昨日はごめん、気にすんな!」
「強引な自己完結だな」
しっくりこなさそうな七緒だったけど、まぁいっかと呟くと校舎に目を移した。
「じゃー心都、そろそろ教室行く?」
そういえば本鈴が鳴ってからもうだいぶたっている。確実に1時間目は始まっているはず。
「うわ、うちら大遅刻じゃんっ!急ご!」
筋肉痛(昨日の裏庭ダッシュのせい)の体に鞭打ってパタパタ走りだすと、12月の空気が頬を撫でた。
心地いい冷たさを感じて、私の気持ちは落ち着いていく。
「俺、今日朝練ないから遅刻ギリギリでさ。校門入ったら裏庭の方からすげー怒鳴り声が聞こえてきて、何話してんのかはわかんなかったけど何か危なさそうだったから。で、行ってみたらちょーど先輩が右手下ろそうとしてるトコで。」
「つまり会話の内容は聞いてないの?」
「うん」
よ、よかったぁ…。
私はホッと息をつき、思わずへたりこむ。七緒が不思議そうに尋ねた。
「どーしたの」
「いえ何でもないっス」
「そうっスか。ところで俺も1つ聞きたい事がある」
「な、何?」
心臓が跳ねた。なぜなら、隣の七緒が私の視線に合わせて腰を下ろしたからだ。
「俺、昨日から何回考えてもわかんないんだけど」
「だから、何?」
場合によっては黙秘権を行使する。
七緒はふざけた色なんて全く感じさせない表情で、言った。
「何で昨日怒ってたの?」
「──へ」
…何だ。そんな事。
私はてっきり、さっき先輩と何話してたのかとかそういう質問かと思っていた。
こいつそんな事を真面目に何回も考えていたのか、と思うと少し可笑しくて。
そしてやっぱり、外見じゃなく中身も、色んな意味で七緒には一生勝てないだろうなぁ、と思う。
「…七緒があまりにも素直だからだよ」
「は?」
「とにかくもう全然怒ってないしっ昨日はごめん、気にすんな!」
「強引な自己完結だな」
しっくりこなさそうな七緒だったけど、まぁいっかと呟くと校舎に目を移した。
「じゃー心都、そろそろ教室行く?」
そういえば本鈴が鳴ってからもうだいぶたっている。確実に1時間目は始まっているはず。
「うわ、うちら大遅刻じゃんっ!急ご!」
筋肉痛(昨日の裏庭ダッシュのせい)の体に鞭打ってパタパタ走りだすと、12月の空気が頬を撫でた。
心地いい冷たさを感じて、私の気持ちは落ち着いていく。