こんな僕たち私たち






よかった。

「大好き」って、あんなふうに先輩に怒鳴った形で伝える事にならなくて。

『部活が1番楽しい』らしい今の七緒には、まだ気持ちは伝えらんないかな。

柔道より好きになってとか、七緒より可愛くなりたいとか、そこまで言わない。言えない。

でも私が頑張って、いつか。

いつか、ほんの少し――七緒がちょっと心臓速くなるくらいの「女の子」になれたら。

その時は。






「…伝えてみるか」
「何か言った?」
「や、1時間目って何だっけ?」
「橋本の理科」
「うぁ最悪…あの先生恐いんだもん」
「急げ」
「おー」








『いつか』がいつになるかはわからない。

けど。

その時は、伝えてみるか。
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