こんな僕たち私たち
1章-9<肩凝りと、理由>
…せんせぇ。いくらなんでも時代錯誤しすぎです、これ。
「どう?このセンス」
「古い」
自分の机で頬杖をつきつつ、ズバッと美里は答えた。
「だよね」
と、私はげんなり呟く。
紐を通して私の首からぶら下げられた四角い板には、『私は今日遅刻をしました。』とでかでか書いてある。
1時間目、大幅に遅れて教室に現れた私と七緒に、鬼理科教師の橋本がかけさせたものだ。
はっきり言ってレトロすぎ。
「こうなったら私、明日の登校中はトースト齧りながら男の子とぶつかるしかないじゃない」
「で、それが美形の転入生で隣の席なのよ。素敵!」
美里がミラーボールの如く瞳を輝かせる側、私はやれやれと肩を揉み解した。
今日1日外すなと橋本に命じられているため、楽しい昼休みだってのに首と肩はガチガチだ。
「あー、もうっせめてダンボールか何かで作ってくれればいいのに、どうしてわざわざ木の板?こんな物ぶら下げてうろついてるだけで恥ずかしいんだから、重さでまで苦痛与えなくても!」
「…どーかん」
数メートル先から気合いのない平仮名発音で割って入ったのは、同じく首から板を下げた七緒。
どーかん…あ、同感。頭の中で変換するまでに少し時間がかかった。
七緒は慣れない肩凝りに負けて机に突っ伏している。