こんな僕たち私たち
ベタ惚れバレバレ、早口言葉みたいだ。

どうでもいい事を考えてしまった私は、次の先輩の質問でようやく正常に戻った。

「あんたさぁ、何で好きなの?」

「え?」

「そこまでバカみたいに東君の事好きなんだから、何か理由があんでしょ?」




理由?




「…正直もう多すぎて自分でもわけわかりません」

そう答える私は、懲りずにまたにやにやしていたんだろうか。

思い出していたのは、朝の七緒のえっらそーな台詞。

「…きっかけみたいなものはきっと、ある……デス」

半ば独り言で呟いた言葉を、無理矢理ですます調にした。

「へー、どんなん?」

「いいんですか?ワタシ長々と語っちゃいますヨ?」

「…どーせ喋り終わるまでにやにやし続けるんでしょ?」

そう先輩が嫌味っぽく言う頃には、私はもうどうしようもなく笑いを抑えきれなくなっていた。













ねぇ、七緒は覚えてる?



今よりずっと子供だったあの日の事を。



2人で泣いたあの日の事を。
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