こんな僕たち私たち
 校庭を抜け、朝練があるからと体育館に入った七緒と別れ、私は教室へ向かう。

 せっかく同じクラスなのに一緒に教室まで行けないなんて寂しい、とか思ってみたり。

 ガラッとドアを開けるなり、栗色のさらさらロングヘアーが私の目の前にあった。

「おはよ、心都!」

「美里、おはよー」

 美里は窓際の私の席までついてきて、私が鞄を置くなりにこにこして囁いた。

「窓から見てたわよ。一緒に登校なんかしちゃって! やったじゃない」

「へっへっへ」

 思わず頬が緩んでへらへら。

 美里は私の友達で、更に言うと学校でも有名な可愛子ちゃんで、そして、唯一、私が七緒を好きって事を知っている人間だ。ちなみに人間以外では、我が家の愛犬クロ(雑種、雄、5歳)も知っている。私が家でよく愚痴っているから。

「でもねぇ、心都」

「ん?」

 美里の大きな瞳が、呆れたように私を覗き込む。

「ジャージ登校は、いい加減やめたほうがいいよ?」

「……う。」

 もっともなお言葉。

 実は私、冒頭で家を出て冬の空気がどうとか語ってた時からずっと、学校指定のダサいだぼだぼ青ジャージを身にまとっていた。
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