こんな僕たち私たち
首を捻って問い掛けると、そこはお花畑だった。

「…」

校内1の美少女からお誘いを受けた彼は、完全に夢見る表情で宙を見つめている。

駄目だこりゃ。

「ね、心都。七緒君誘ってみれば?来てくれたら嬉しいでしょ?」

「…うん、嬉しい」

嬉しくて泣きますよ、私。

でも七緒は。

パーティなんかぜってー行かねーって宣言したらしい七緒は、来るんだろうか。

幼馴染みのお誘いに、首を縦に振ってくれるんだろうか――?

「俺が何?」

「ぎゃっ」

いつの間にか、着替えを終え戻ってきた七緒が田辺の隣の席にいた。

「ぎゃって何だよ、ぎゃって」

ジャージ姿の七緒が不機嫌そうに私を見る。

「だっていきなりいるんだもん…そういえば制服大丈夫だった?」

「あー、水に絵の具が混ざってたみたいで染みが付いてた。クリーニング出さなきゃいけないから当分ジャージだな。動きやすくていいけど」

ジャージ姿の七緒を見ると、服は着る人によって変わるもんだなぁっていつも思う。

前に七緒ファンのお姉様方が「ジャージの天使よぉぉ」とか言っているのを聞いた。

正直、私もちょーっとだけ心の中で頷いてしまった。

だって、私が着るとただのダサい青ジャージなのに!

それが七緒は、可愛らしさがあるというか、爽やかというか──とにかく、ジャージまで光って見える。

…私、かなり重症かも。

「あのさ、七緒」

「ん?」

「えっと、24日の事なんだけど――」

と、私が切り出そうとしたその時だった。


バコン。そんな感じの鈍い破壊音が、廊下で響いた。
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