こんな僕たち私たち
2章-3<女子マネもどきと、拳の予感>
昔から、そう。
七緒の頼みといえば、それはそれは大した事のないもの(例えば消しゴム貸してくれーとか)ばかりだった。
だから今回も、そんな感じの用件かなぁと思っていた。のだけれど。
「――りょーり?」
間の抜けた声で聞き返す私に、七緒はこっくり頷いた。
12月ともなると、日が落ちるのが早い。
薄暗くなり始めた通学路を七緒と2人で歩きながら、私は「これってちょっとだけ正夢?」とかぼんやり考えていた。
でもその夢見心地な思考も、七緒が本題を切り出すのと同時に終わった。
「心都、仮にも料理部じゃん?料理教えてほしいんだ」
「仮にもは余計なんだけど。ていうか何でまた急に。一人暮らしでも始めるわけ?」
「じゃなくて」
実はさ、と七緒は語り始めた。
早い話が、今日の部活中くじで運悪く当たりを引いた七緒は「めっちゃくちゃ重くて辛くて大変な差し入れ係」に任命されてしまったらしい。
「何そのめっちゃくちゃ重くて辛くて大変な差し入れ係って」
「夏休みとか冬休みだけの臨時の係なんだけど、練習の度に部員皆の差し入れ作ってかなきゃいけないんだよ。ほらうちの部活マネージャーとかいないから1、2年生の中の誰かがやる事になってて。もちろん練習は普通にするけど、休憩時間中はマネージャー代わりになるって感じのやたら忙しい係でさ」
つまり冬休み中の七緒は可愛らしい女子マネみたいに、レモンの砂糖漬けやらスタミナドリンクやらをいそいそ用意するって事か。
……何かそれって、ビジュアル的にハマりすぎ?
七緒の頼みといえば、それはそれは大した事のないもの(例えば消しゴム貸してくれーとか)ばかりだった。
だから今回も、そんな感じの用件かなぁと思っていた。のだけれど。
「――りょーり?」
間の抜けた声で聞き返す私に、七緒はこっくり頷いた。
12月ともなると、日が落ちるのが早い。
薄暗くなり始めた通学路を七緒と2人で歩きながら、私は「これってちょっとだけ正夢?」とかぼんやり考えていた。
でもその夢見心地な思考も、七緒が本題を切り出すのと同時に終わった。
「心都、仮にも料理部じゃん?料理教えてほしいんだ」
「仮にもは余計なんだけど。ていうか何でまた急に。一人暮らしでも始めるわけ?」
「じゃなくて」
実はさ、と七緒は語り始めた。
早い話が、今日の部活中くじで運悪く当たりを引いた七緒は「めっちゃくちゃ重くて辛くて大変な差し入れ係」に任命されてしまったらしい。
「何そのめっちゃくちゃ重くて辛くて大変な差し入れ係って」
「夏休みとか冬休みだけの臨時の係なんだけど、練習の度に部員皆の差し入れ作ってかなきゃいけないんだよ。ほらうちの部活マネージャーとかいないから1、2年生の中の誰かがやる事になってて。もちろん練習は普通にするけど、休憩時間中はマネージャー代わりになるって感じのやたら忙しい係でさ」
つまり冬休み中の七緒は可愛らしい女子マネみたいに、レモンの砂糖漬けやらスタミナドリンクやらをいそいそ用意するって事か。
……何かそれって、ビジュアル的にハマりすぎ?