こんな僕たち私たち
2章-5<カミングアウトと、宣戦布告>
【惚れる】意味:異性を好きになる。心を奪われる。

 異性じゃない場合は、どうなのですか。










 進藤禄朗(へー名前ろくろーっていうんだーとか思う暇もなかった)による熱血的な告白の後、数秒続いた沈黙を破ったのは七緒の間抜けな声だった。

「………へっ…?」

 さっき喧嘩を止めた時の気迫はどこへやら、七緒の眉はギャグ漫画みたいに八の字に下がり、目と口はこれ以上ないくらいぽっかりと開いている。効果音を付けるとしたらがちょーんってとこか。せっかくの美少女フェイスが台無しだ。

「オレ…っこんな気持ちになったのマジ初めてっス。七緒先輩みたいな強くて綺麗な女の人に、今まで会った事ないっス!」

 ぴきっ、と七緒の表情が引きつった。

「一生、幸せにします!七緒先輩となら温かい家庭が築けそうな気がするっス!」

 私の『もしかして』は、珍しくばっちり当たってしまったらしい。

 この進藤禄朗、ジャージ姿の七緒を完璧に女だと思っている。

 が、彼の暴走は止まらない。

「浮気なんかしませんし、日曜はしっかり家族サービスするっス!子供はやっぱり娘2人に息子1人っスかね」

 思考回路が停止していそうな七緒に変わって、とりあえず私が突っ込んでおこう。

 飛躍しすぎです。

 そして子供産めません。

「お付き合いしてくださいっ!」

 胸の前で拳を握り締め、瞳を輝かせながら進藤禄朗は言った。

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