こんな僕たち私たち
 わけのわからない宣戦布告を得意気に繰り広げる七緒に視線を遣りながら、私は心に誓った。

 もう、めったな事では舞い上がったり沈み込んだりしないからな、絶対に!

 ――だって何か悔しいし。それに、こんな奴の一言にいちいち一喜一憂していたら、きっと私の心臓がもたない。

「へいへい。わかったからさっさとお料理教室進めちゃおうよ」

 私は皮剥きを再開するために包丁を持った。

「…あのさ」

「ん?」

やっぱり、宣戦布告に一言返したい。

「……強くなってよ?マジで」

 七緒が柔道に夢中になっている姿とか、技が決まった事を嬉しそうに話す笑顔とか。

 それは、いつも、切ないくらいに眩しくて。

 だから。

「……これでも応援してんだからね」

 いつまでも笑っていてほしいんだ。

「うん」

 七緒はちゃんと頷いてくれた。

 私の大好きな、いつもの綺麗な瞳で。


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