こんな僕たち私たち
「あっ、そうだわ聞いてよ明美〜。この娘ったら今年はクリスマスパーティ参加しないから私たち2人だけでやれって言うのよ〜」

 お母さんが私の頭の上にポンッと手を置く。

「マジ?」

「あー、うん。ほら今年は七緒も部活で来られないし、久しぶりにマブダチ水入らずでどうかなって」

「男か」

 キラリと目を光らせ明美さんが言った。

「はい?お、おと…?」

「心都にもついにクリスマスイヴを一緒に過ごすような男ができたんだね!?あの、3年前のパーティでワインをジュースと間違えてがぶ飲みした挙げ句べろんべろんに酔って『今すぐ新しい顔を焼くヨ』って延々とジャ●おじさんの物真似してた心都にも!」

「ぎゃあぁ明美さんそんな昔のエピソードいらないからっていうか男じゃないからっ」

 ちなみに。私は全く記憶にないけど、結構似ていたらしいです。ジャ●おじさん。

「ふぅん、お節介おばさんな心都にもやっと青春時代が来たかと思ったのに」

 と、けろりと宣うのはもちろん七緒。

「男じゃなくて悪かったね。美里とか田辺君と楽しくパーティの予定なんですぅー」

「あらそれじゃあやっぱり今年は2人きりでやろうかしら」

「まぁたまにはいいかもな。またあの若かりし頃に戻った気持ちで。ぱーっとハメ外そうゼ☆」

「そうね、ぱーっと!」

 外さないでください39歳。という私と七緒の突っ込みが届く事はなく、意外と酒豪な母2人はまた新しいビールを開け始めた。




















「――で。結局こうなるんだよな」

「…うん」

 私と七緒はげんなりと呟いた。目の前には、床に転がりぐぅぐぅいびきをかくお母さんと明美さん。

「ねぇ起きてよ、もう9時だよ!」

 呼び掛けも効果なし。ただ明美さんが「このエロ息子…ついに教師にまで手ェ出しやがって」と寝惚けた声をむにゃむにゃあげただけだった。

「この酔っ払い…っ」

 七緒は堪え難そうに拳をぶるぶるさせたけれど、私は明美さんが見ている夢の内容を想像してしまい笑いを封じ込めるのに必死だった。


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