こんな僕たち私たち
 理由はもちろん、昨日七緒と交わしたイヴの約束。部活の後だろうと何だろうと、とにかく来てくれる。一緒にいられる。それだけでもう、頭が爆発するほど嬉しいよ――。

「――ってかホントに爆発させてどーすんのよ」

 そう言って美里が指差すのは、数日前の『可愛くなってやる』の誓いを守っているとは到底思えない、私の超無造作ヘアー。…つまりかなりの寝癖頭。

 もちろんそれを見た彼女が黙っているはずもなく。

「何なのよ今日の髪は!アホ毛炸裂じゃない!ちょっとでも可愛い女の子になれるように努力するんじゃなかったの?」

 こういう事には鬼のように厳しい美里。いつもの澄んだプリチーボイスとは180゜違う、ドスのきいた声色でこっちを睨み付ける。今にも私の髪を引っ掴んでスタイリング剤を振り撒きそうな勢いだ。

「いや、あの、言い訳さして?」

「何よ」

「その…や、私さー昨日の夜七緒が帰った後もう浮かれまくっちゃって。パーティでおいしーいケーキでも作って持ってっちゃおうかなーなんて、急に料理部員魂がメラメラと…」

「つまり夜からケーキ作りの練習始めちゃったわけね。で、夜更かしのしすぎで寝坊して、髪をセットしてくる余裕がなかった、と」

「わぉ、さすが美里サン。一を聞いて十を知るとはまさにこの事だネ☆よっ平成の聖徳太子!」

 あれ、聖徳太子は10人いっぺんに話が聞けるんだったっけ…もうこの際どうでもいい。

「はいはいそういうお世辞いらないから」

 私の間違った誉め言葉(ウィンク付き)をさらりと流し、美里が呆れたように言う。

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