こんな僕たち私たち
2章-9<激突と、君の名は>
「ナメてんのかテメェ!!」
その聞き覚えありまくりな怒鳴り声は、少し先の階段付近から聞こえてくるようだった。
恐る恐る覗いてみる。
「おいコラ、さっきからふざけた事ばっか抜かしてんなよ!!」
「そっちこそ何度言わせる気だ進藤!他学年の教室にはきちんとした用がある場合のみきちんとした格好で行く、これが学校でのルールだろう!」
「なんでテメェに指図されなきゃなんねぇんだよっ」
案の定、教師と激しい言い争いを展開中の進藤禄朗だった。
「2年にちゃんとした用事があるって言ってんだろ!!本っ当にうぜぇなテメェはよ!!」
禄朗が今にも掴み掛かりそうな勢いで怒鳴りたてる。とてもじゃないけど昨日男にフラれて泣いていた少年と同一人物とは信じ難い。
「うぜぇとは何だ!全く、どうしてお前はいつもいつも…」
一方相手の方は、鬼の理科教師橋本。銀縁眼鏡の奥で神経質そうに動く目が、バスケ部顧問というボジションには恐ろしく似つかわしくない。
そしてそのバスケ部員の田辺曰く、『進藤の担任で最近よく衝突してる』らしい。確かに今少し見ても、仲良しで信頼関係バッチリな先生と教え子には明らかに見えない。