こんな僕たち私たち
 周りの生徒たちはその2人の横を避けて通り、見て見ぬフリを決め込んでいる。

 まぁ当然といえば当然だろう。

あんな凶暴で短気で薔薇とか咲かせちゃう危ない1年生、私だって出来れば関わりたくはない(色んな意味で)。

 が、しかし。

「だからっ2年2組に用があるんだよ!先公の説教聞いてる暇なんかねぇっつってんだろ!!」

「なんだその言葉遣いは!それが先生に対する態度か!」

 彼がこんな所で喚いている理由と目的。

それに薄々感づき始めている今、私は何となく動く事ができない。

「…っオレ、どうしても会いてぇんだよ!」

 ……うぉ。禄朗、信じられないくらいに切なげな表情。

少女漫画ならふわふわと点描が漂うところだ。

 そう。彼は今、大好きな人に会うためここにいるのだ。

 が、橋本の一喝がそんな甘酸っぱいムードを打ち壊した。

「どうせ大した用事じゃないんだろう!!ぐだぐだ言わずにさっさと自分の教室へ戻れ!」

 ――ぶち。

「……」

 今、なんだかとても不吉な音が。
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