こんな僕たち私たち
 そしてその後の禄朗の行動はまさに予想通りだった。

「……っざけんな!!」
 禄朗のグーが、空を切り高く振り上げられる。

 もちろん、昨日彼を止めた七緒は今ここにいない。

 間違いなく、限りなく、この上なく、危険だ。


「のをっ!!ススストップ禄朗!」


 突如間の抜けた大声を発した私を、禄朗が見遣る。

その拳は、青ざめた橋本の顔面の一歩手前で止まっていた。

「誰あんた」

 禄朗が苛立たしげに訊ねる。

 昨日会ったっていうのに。私、どうやらすっかり忘れ去られているらしい。

 禄朗も橋本も、明らかに「なんだコイツ」的な目で私を見ている。

 ――さて。…どうしよう。

 昨日の今日で、ついしゃしゃり出てしまったけれど。咄嗟に動いた事があだとなって、これから何をすればいいんだか全く思いつかない。

「えーと…」
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