こんな僕たち私たち
「…な、何かよくわかんねぇけど、とりあえず禄朗が納得してくれたならそれで…」

 なんだかぐったり疲れた様子の七緒が言う。

 オイそれでいいんかい、と私は思わず突っ込みたくなったけれどやめた。

それよりも激しく気になる事があったからだ。

「…ねぇ。いつまで手ェ握ってんの」

 さっきから七緒の手をガッチリ掴んだままの禄朗が、私にぎろりと目を向ける。

「関係ねぇだろダサ女」

「く…っ、その態度の違いがムカつくんですけど!」

「うっせー!自分が七緒先輩と同等だとか思ったら大間違いだぞコラ」

 昨日は、殴り合いを始めそうな七緒と禄朗を見ながら『これだから男の喧嘩なんて!』と心の中で叫んだ私。

でも、どうしてでしょうか。今は、胸の前で握りしめすぎて血管が浮いているこの拳を使いたくてしかたがないのです。いやもう本当に。

「聞いてくだサイよ七緒先輩!オレ、七緒先輩に今の言葉を伝えたくて朝から2年の教室らへんウロついてたんスよ。そしたらこのボサボサ、オレを七緒先輩に会わせるのを拒否ったんスよ!?ありえませんよネッ!!」

 ようやく手を離した禄朗が、七緒に向かって訴える。

「ボ、ボサボサ?」

 一瞬わけがわからなさそうな表情を浮かべた七緒。

 が、私の頭をチラッと見遣り。

「あー…」

 ――って、おい。

「ちょっと何納得してんの!!」

「いや、だって今日のはさすがに…」

「っていうか笑いをこらえるな!!」

「ギャハハハ」

「ろくろーあんたは笑うな!!」

 …あぁ、もう。なんなんだろう今日は。

寝坊しながらもチェックしてきた朝の占い、さそり座は4位とまぁまぁだったのに(そうよ私はさそり座の女)。
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