渇望-gentle heart-
息抜きをするために金を稼いでるはずなのに、なのに何をしても虚しいのは、どうしてだろう。


きっと誰も、金さえ持たないあたしなんて愛してくれないからだ。


そうやっていつもあたしは、誰かの、何かの所為にして生きてきた。


そんなことにも、やっぱり少し疲れているのかも。



「ハルだけだよね、あたしにそういうこと言うのって。」


「そうなの?」


「そうだよ。
みんなはあたしのこと嫌ってるから。」


肩をすくめて見せたあたしに対し、



「まぁ、何かよく分かんないけど、無理しないでね。」


相変わらずの笑顔を崩さないまま、彼は言った。


同じく送迎のジローよりはずっと良いけれど、でも腹の底が見えないのはどちらも一緒。



「じゃあ、あたし行くから。」


それだけ言って、車を降りた。


空気の淀んだ街の、薄汚いホテル街の一角。


安っぽい看板がひしめきあっていて、いつの間にあたしは、こんな場所に馴染んでしまったのだろうかと思う。


別に親がどうのなんて言うつもりもないけれど、でももう地元に戻って可愛いお嫁さんになんてなれないだろう。


流れ星を探して空を見上げるほど、あたしは純粋なんかじゃない。


けれどいつも、たったひとつだけを願ってる。




誰か助けてよ、と。






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