渇望-gentle heart-
少し落ち着いてきた時、ハルは部屋で退屈そうに深夜番組に興じていた。
漂う意識の中で徐々に頭の中は整理され、先ほど流星と喧嘩をしたのだと思い出した。
部屋には大麻の匂いが染みている。
「少しは落ち着きましたか?」
こちらに気付き、ハルはあたしに煙草の一本を差し出してくれた。
「そういえば、百合ちゃん仕事辞めたがってるっぽいよ。」
思い出したように言う彼に、何とも言えず、差し出された煙草だけを受け取った。
けれどもハルは、お構いなしに言ってくれる。
「ジローくんまでイライラしちゃってるし、俺そういう面倒なのって苦手なんだよね。」
「仕事の話なんかしないでよ。」
「けど香織ちゃん、百合ちゃんのこと気にならないの?」
気にならないと言えば嘘になる。
だって彼女は、互いに嫌い合いながらも、それでもあたしの心配をしてくれた。
けれどあたしは、それに応えることを選ばなかったから。
「百合のことなんかどうだって良いわよ。」
言った瞬間、ハルはひどくつまんなそうな顔で口を尖らせた。
「まぁ、友情なんて馬鹿みたいなもん、この街では必要ないよね。」
相変わらず、感服するほどの冷たい男。
どうしてここまで性格がねじ曲がっているのかなんて知らないけれど、言葉に肩をすくめる仕草をし、あたしはそのまま立ち上がった。
漂う意識の中で徐々に頭の中は整理され、先ほど流星と喧嘩をしたのだと思い出した。
部屋には大麻の匂いが染みている。
「少しは落ち着きましたか?」
こちらに気付き、ハルはあたしに煙草の一本を差し出してくれた。
「そういえば、百合ちゃん仕事辞めたがってるっぽいよ。」
思い出したように言う彼に、何とも言えず、差し出された煙草だけを受け取った。
けれどもハルは、お構いなしに言ってくれる。
「ジローくんまでイライラしちゃってるし、俺そういう面倒なのって苦手なんだよね。」
「仕事の話なんかしないでよ。」
「けど香織ちゃん、百合ちゃんのこと気にならないの?」
気にならないと言えば嘘になる。
だって彼女は、互いに嫌い合いながらも、それでもあたしの心配をしてくれた。
けれどあたしは、それに応えることを選ばなかったから。
「百合のことなんかどうだって良いわよ。」
言った瞬間、ハルはひどくつまんなそうな顔で口を尖らせた。
「まぁ、友情なんて馬鹿みたいなもん、この街では必要ないよね。」
相変わらず、感服するほどの冷たい男。
どうしてここまで性格がねじ曲がっているのかなんて知らないけれど、言葉に肩をすくめる仕草をし、あたしはそのまま立ち上がった。