天使のハンコウ
この島で起こった、連続殺人。
その手口が、１０年前に死刑を執行された、殺人鬼、アルフ　ウォルトのもの、そっくりだったのだ。
コピーキャット
模倣犯。
アルフの犯行を真似して、同じような殺人を繰り返す。
それが、行われているのだった。
ウルカは２２。
１６年前に、アルフに会っていた。
アルフが、その綺麗な顔で、女性を魅了し、殺害していた時に。
「あの、ピンク色の花びらは、桜、という花のものらしいな。東洋の日本では、人気がある花だそうだ。少しの間しか咲かない、淡い色の、地味な花。全く、日本人って言うのは分からない」
「じゃあ、あなたはこの事件向きじゃない」
ウルカは綺麗に微笑んだ。
陶器のような、白くて滑らかな肌。
目も鼻も唇も、愛らしいラインを描いて、整っている。
ただ、その大きな灰色の瞳には、覗き込みたくない、得体の知れないものが潜んでいる気がする。
マルグレッドは、ウルカの瞳から目をそらす。
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表紙・目次

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