出来ちゃった恋愛
【ユズ】



そばに誰かがいるって、心強い…。



それが避けたいサキだとしても…。



点滴をしてから家までの道をゆっくり歩いた。



隣にいるサキはなにも話さない。



「チョコ…食べたい…」

「俺持ってる…」

「ありがと…」



不思議とこれなら食べられる気がするんだ…。



他に食べたいモノなんか全くなくて。



サキがくれたチョコをふたりでひとつずつ食べた。



「サキはなに考えてんの?」

「わかんねぇ…」

「なにも考えなくていいよ、サキは」

「そうじゃねぇよ。それはダメだ」

「どうしようもないでしょ」

「どうしようもねぇとか…思っちゃダメなことじゃねぇの?」



サキってこんなヤツだっけ?



いつもバカやってて、真面目な顔なんか見たことなくて。



女にはだらし無いし、勉強もできる方じゃない。



頭で考えることなんか悪いこと考えてる時だけで、本当にバカなくせに。



「サキと付き合ってりゃ少しはマシだったかな…」

「は!?」



あっ、ついうっかり…。



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