青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―


「田山、これから何処に行くつもりだ?」

「ンー? 体育館裏。あそこが一番サボれるんだ。ってか、そこしかサボれる場所知んねぇけどさ。利二は何しているんだよ。授業出なくていいのか? サボっていいのか?」

「お前には言われたくないな」


表情を緩めたまま利二が俺から目を放す。ちょっと間を置いて利二は口を開いた。


「なんとなく、ふけてみたくなった。ダルかったんだ」 


利二の答えに俺もちょっと間を置いて口を開いた。


「フーン。俺と同じ理由か」


自然と視線が合って俺達は軽く笑いを漏らした。


「体育の時間にでもふけようと思っていたら、お前が先に教室を抜けたからな。抜けてきた」

「それじゃまるで俺のせいで抜けたって言っているようなもんだぞ」



「そうとも言うな」「抜けたのは自分のせいだろ」「おかげで助かっただろ?」「ちぇ。恩着せがましいったらありゃしねぇ」



いつもの雰囲気、いつものノリ、いつものやり取り。


利二の気持ちは分からないけど、俺自身、このやり取りが妙にくすぐったい。


照れるってのも変な感じだけど、妙に照れちまう。なんでだろうな。


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