青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
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『 生 徒 会 室 』
突き出しプレートに印刷されている文字を、俺は声に出さず読み上げた。
生徒会っつったら全校生徒の前で話したり、ダルイ生徒総会の準備をしたり、学校のために陰で一生懸命働いたりする組織だよな。
学級委員だってしたがらない俺にとって生徒会なんて、まったく、と言っていいほど縁がない。
みんなの前に立ちたがらない、出たがらない、話したがらない野郎だぜ?関われって方が無理。そういう系は苦手なんだ、俺。
だから“生徒会”室なんて高校卒業するまで、一歩も足を踏み入れない領域だと思っていたのに。
心の中で溜息。溜息。また溜息。
できることならすぐにでもトンズラしたいんだけど、前に立ってらっしゃる須垣先輩が逃がしてくれなさそうだし、
「チッ、ダリィ」
ヨウを置いてトンズラすると俺が後々泣きを見る!
軽い舌打ちをして苛立ちをまぎらわしているヨウを須垣先輩が面白がるように笑っているんだから、またヨウの怒りが上がるんだよなぁ!
隣に立っているだけでヒシヒシ伝わってくるぜ、ヨウのお怒りが。
あのさ……どーでもいいけど俺に八つ当たりとかはしてくるなよ。
「ケイ、これが終わったらゲーセン行こうぜ。マジ腹立つ。やってられねぇ」
「お、おお。いいけど」
思ったそばから、ヨウからのお誘い。
うっわぁ。
絶対ゲーセンでエアホッケーをするんだぜ! 気が済むまでエアホッケーをしまくるんだぜ! ……い、いやだなぁ。気が済むまでヨウとエアホッケーに付き合うなんて。
ヨウの奴、メチャクチャ強いから、俺ボロクソに負けるんだよな。
いつもボロクソに負けているのに、今日のヨウとエアホッケーをしてみ? ボロクソどころか惨敗どころか、怒りの捌け口にされる! その光景が目に浮かぶから気がドッと重くなった。
だからってお誘いを断るわけにもいかない。っつーか恐いからできねぇよ! マジ、どーして俺ってこんな役回りばっかなんだよ! ついてねぇー!
俺が嘆いている間に(あくまでも心の中で)、須垣先輩が生徒会室のドアを引いた。
中に入ると生徒会役員であろう生徒達と、先輩の言ったとおりワタルさん達が席に着いていた。
俺達が入って来たことに気付いてワタルさんが挨拶代わりに片手を上げると俺達を手招きしてきた。
迷うことなくヨウと俺はワタルさん達のところへ向かう。
「遅いじゃーん。何してたの? 二人が来るまで僕ちゃーん達、待ちぼうけ喰らってたんだけど?」
「ウッセェな。担任に呼び出し喰らってたんだよ」
「まさか舎兄弟揃って?」
「悪いかよ」