青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―



「僕は学校でも落ちこぼれだけど、不良としても落ちこぼれなんだよなぁ」

「不良としても落ちこぼれ?」


「喧嘩からっきしでね。中学の時からヨウ達の足を引っ張ってばっかりさ。ケイも知っているだろ、僕が袋叩きにされたの……っていうか、ケイは僕を助けてくれたひとりだったね」


「あの時はありがとう」面と向かって礼を言われたら、なんてリアクションしていいか分からない。


一ヶ月も前のことだしな。取り敢えず「どういたしまして」言葉を返す。

瞬間、ハジメは何処となく辛そうな顔を作りながらも、苦笑を貼り付かせた。


「学校で落ちこぼれるより、不良として落ちこぼれる方がシンドイね」

「ハジメ?」

「ケイ、僕はさ……」


「もすもーすぅ、おふたりさぁあん! ア、ア、アテンションプリーズ!」


真面目な話をしている時に、後ろから腕を回された。


廊下に響き渡るうざったい口調を耳にした瞬間、誰が俺達を呼んだのか、誰が俺達の首に腕を回してきたのか、振り返らなくても分かる。


ハジメも同じだと思う。

足を止めて一緒に後ろを振り返る。

ニタニタと笑っているワタルさんが立っていた。


やっぱりワタルさんだよなぁ。

あんなウザ口調を使う人、この人以外いないって。


「ヨウちゃーんの教室に行こうピョーン。今日はそこで食べることに決定だってよーん」

「え、なんで? 体育館裏は?」


俺の疑問にワタルさんは肩を竦めた。


「僕ちゃーんも事情は知らない。ただヨウちゃーんからメールでそう言われた」


何かあったのかなぁ?


俺達は顔を見合わせた。

もしかしてまたなんか問題でもあったのか。

懸念したんだけど、これについての答えはすぐ分かることになる。

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