青騒のフォトグラフ―本日より地味くんは不良の舎弟です―
「仲間、というよりも脅されて何かされているって思った方が筋じゃないかなー。ケイちゃーんがヤマトちゃーんに脅されたように、ね。
向こうは、そーゆー無理やりプレイ好きな輩が多いから。ヤマトちゃーん達に関わっているのかどうか、何となーくあの子に話が聞きたくなってねぇ。追い駆けてきたわけ、お分かり?」
「仮に……仮にそうだとしたら、透を、ワタルさんはどうしますか?」
「さあ? 殴り飛ばしちゃうかも。そうなったらケイちゃーん、どうする?」
挑発的な問い掛けに俺はちょっと考えた。
もしもそうなったら、俺はどうするだろう。
ワタルさんを止める……勿論それは、かの有名なカツアゲ伝説を作っている不良さまに喧嘩を売るわけで。
けど透は俺の地味友なわけで。一つ頷いて、答えた。
「そうなったら取り敢えずワタルさんが殴る前に、俺が透を殴り飛ばします。
それから事情を詳しく聞きたいです。腕っ節の強いワタルさんに殴られたら、地味な奴等ってすぐ伸びますから」
身をもって経験しているからこそ言える。
喧嘩慣れしている奴にぶっ飛ばされたら、地味な奴はすぐ伸びちまう。病院送りも夢じゃないぜ!
ワタルさんは一笑して、俺の背中を叩いた。
「ケイちゃーんらしい面白いお答えをどーもども。何だかんだ言ってオトモダチ思いなんだねぇ。自分で殴っちゃうだなんて」
「どっちかっていうと俺のためでしょうね。その時の俺、きっと頭に血が上ってるでしょうし」
ブレザーのポケットに手を突っ込んでワタルさんに苦笑いを向けた。
だってそうだろう?
身近にいる……地味友と信じていた奴が今回の事件に絡んでいる上に日賀野の手先になっていた! なんて知ったら、きっと俺、ショックを受けていると思う。
なんで相談してくれなかったんだという透への怒りと、なんで気付けてやれなかったんだという俺自身への怒りが、きっと入り混じって一つの怒りになっていると思うんだ。
俺自身もそういう経験(未遂だけど)したことあるから、尚更、頭に血が上っていると思う。
だから殴り飛ばして、そして事情を聞くんだ。何があったんだ? どうしたんだ? って。